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ARTRAY

アート鑑賞ナビゲーター藤田令伊のブログ形式のメディアです。
展覧会レビュー、アート鑑賞のヒント、アートニュースなどアートに関する
effectiveな情報を発信しています。アート以外についてもときどき書きます。
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日展醜聞
アートを考える

このところ日展に関するネガティブな話題が挙がっている。今日も朝日新聞がウェブ版で取り上げており、洋画分野で審査員に事前に現金や商品券を贈って入選の便宜を図ってもらうのが通例になっていたという。

 

書の分野から明るみになり始めた日展の醜聞問題。日本最大の公募美術団体が地に落ちたかたちだが、おそらく、多くの人にとってはさほど意外ではないのではないか。今回の問題はたまたま内部事情が表に出ただけの話で、こうしたことが行われているのは公然の秘密、暗黙の了解だったに違いないというぐらいにしか見られていないのではないだろうか。


私も以前こういう話を聞いたことがある。作品を評価する品評会では、有力者が手を挙げれば他の人たちも手を挙げるという“追随構造”になっていて、評者一人ひとりが独自の考えで判断しているわけではない、という話である。それからすると、今回のこともさもありなんの感しかない。


入選のために金品を求める審査員や幹部がいるかと思えば、入選がほしくて金品を手渡す応募者もいる。どっちもどっちである。彼らは美術を探究しているのではなく、名誉争いや地位争いを繰り返しているにすぎない。外から見ると滑稽というほかない。なかには真面目に頑張っている会員もいると思われるが、そういう会員がほんとうに気の毒である。


まあ、やりたければ勝手に好きなことをやってもらえばよいのだが、それで話が終わらないのが厄介なところである。というのは、まず日展は公益社団法人に指定されている。公益社団法人とは一般社団法人のなかでもとくに公益性が認められたもので、税法上も優遇を受けている。内部の名誉争いや地位争いにばかり汲々としている日展にはもはや公益性は認められないから、公益社団法人は返上してもらいたい。


また日展には妙に力があるのも悩ましい。端的なのが国立新美術館である。400億円もの税金を投入してつくられた国立新美術館の設立にあたっては、日展をはじめとする公募美術団体の発言力が絶大だった。国立新美術館は計画時から「いったい何をしようというところなのかよくわからない」と疑問が呈されていたが、施設の性格がよく見えなかったのは公募団体側があくまでも自分たちの展示場になればそれでよいと考えていたからである。さらに当初、書は範疇外とされていたのが一転して扱われることになったのも日展に書があったからだという。国会議員や官僚とのパイプも厚く、美術団体というより政治団体の趣がある。


ふつうの人間にとっては、美術とは権威やら権力とは関係なく個としての自分を確立するためのものであろう。とくに今日ではそうした美術のあり方が求められている。そんなときに金にまみれた椅子取りゲームに血道を上げている団体が多額の税金を動かす力を持ってもらっては困るといえば困る。そもそも、金と名誉のただれた関係が自浄されることなく長年続いてきたということ自体がおぞましい。そろそろ消滅してもらっても一向に差し支えない。