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ARTRAY

アート鑑賞ナビゲーター藤田令伊のブログ形式のメディアです。
展覧会レビュー、アート鑑賞のヒント、アートニュースなどアートに関する
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世界三大絵画
アートリビア

世界三大絵画というのがあるそうである。ところが、調べてみると世界三大絵画には何種類かあって、「ベラスケスの《ラス・メニーナス》、エル・グレコの《オルガス伯の埋葬》、レンブラントの《夜警》」とするものもあれば、「《ラス・メニーナス》、《オルガス伯の埋葬》、《モナ・リザ》」とするもの、「《ラス・メニーナス》、《夜警》、《モナ・リザ》」というのもあった。つまり、《ラス・メニーナス》、《夜警》、《モナ・リザ》、《オルガス伯の埋葬》の4つのなかから3点を選ぶことをもって世界三大絵画というらしい。


ただし、《夜警》、《モナ・リザ》、《オルガス伯の埋葬》はリストから外れることがあっても、《ラス・メニーナス》は常に入っている。それからすると、絶対的な世界三大絵画は《ラス・メニーナス》となりそうで、これは別格ということなのだろうか。

 

世界三大絵画の4点を見て(というのも変な言い方だが)気がつくのは、ほかにもランクインしてよさそうなものがあるのではないか、ということだ。たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》やミケランジェロの《最後の審判》なんかも入って不思議ではない。しかし、候補にも入っていない。これらは「絵画」ではなく「壁画」なのでダメなのだという。ミケランジェロについては、彼自身は絵画より彫刻のほうが上だと考えていたことも関係しているのかもしれない。


では、ラファエロはどうだろう? レオナルドやミケランジェロと並ぶルネサンスの巨匠であるから、リストアップされても全然おかしくない。ところがラファエロは除外されている。なぜだろうと思ってハタと思い当たったのは、たしかにラファエロもレオナルドやミケランジェロに並び立つ画家だが、では代表作は何かと問われたら、案外答えに窮するということだ。


ラファエロの名作として名高い絵はいくつかある。《牧場の聖母》や《小椅子の聖母》、《美しき女庭師》などがすぐ思い出される。あるいは、バイエルン侯ルートヴィヒ1世が獲得に20年もの歳月と執念を費やした《テンピの聖母》通称「メバト」なんてのもある。しかし、レンブラントといえば《夜警》、ベラスケスといえば《ラス・メニーナス》といったほどに、ピタッと代表作としてはまるものはない気がする。これが世界三大絵画入りの妨げになっているのかもしれない。「世界三大画家」であればラファエロも入ってくるのかもしれない。


世界三大絵画が《ラス・メニーナス》、《夜警》、《モナ・リザ》、《オルガス伯の埋葬》とするのは偏っている気もする。「世界三大西洋絵画」であればまだ納得できるが、世界の三大絵画というのなら何もヨーロッパに限ることはない。ほかならぬ日本の葛飾北斎が入っていてもおかしくない。《神奈川沖浪裏》なんかも十分候補足りうるのではないか。


あるいは、時代の偏りもある。現在の4点はいずれもルネサンスからバロックにかけて制作されたものである。その後に描かれたゴヤやゴッホ、ピカソといった存在は目もくれられていない。世界三大絵画がいつ誰によって選ばれたのかわからないが、察するに、20世紀初頭ぐらいまでの、まだ伝統的な絵画が権威を保っていた時代だったのではないだろうか。


あるいは、4点のうち《オルガス伯の埋葬》だけちょっと不思議な感じがしないでもない。私だけの感覚かもしれないが、他の3点に比べて格落ちするというか、世界三大絵画とまでいうほど高く位置づけられる絵なのだろうか、という気がするのだ(お好きな人には申し訳ないです)。知名度も他の3点ほど高くないように思う。エル・グレコは美術史上、長年忘れられていた画家である。再評価されるようになったのは20世紀初頭。ということからしても、世界三大絵画は20世紀初頭〜前半にかけてまとまってきた感じがする。


とまあ、世評は世評として、もし自分だったら何を選ぶかと考えてみるのも面白い。私の場合は、やはりフェルメールの《デルフト眺望》か《牛乳を注ぐ女》は入れたい。このどちらにするかが悩ましく、いっそ二つとも入れてしまいたいぐらいだが、さすがにそれはフェルメール贔屓がすぎるだろう。 あなたなら何を選ぶだろうか?