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ARTRAY

アート鑑賞ナビゲーター藤田令伊のブログ形式のメディアです。
展覧会レビュー、アート鑑賞のヒント、アートニュースなどアートに関する
effectiveな情報を発信しています。アート以外についてもときどき書きます。
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地方美術館の面白さ
ブログ
1月に「仕切り直し」を投稿し、その後、また放置状態になってしまっていました(すいません)。じつは再び取り込み事が発生し、「時間が飛ぶ」日々を過ごしていました。取り込み事とは、私事になりますが、父親の危篤で、そのため実家の奈良へずっと戻っておりました。幸い、父親は持ち直してくれたのですが、奈良へ戻っていたあいだ仕事が滞った余波もあって、このところ地方出張が続いています。
 
一昨日までは沖縄へ行っていました。その前は青森、その前は長野、その前は前述の奈良帰郷、その前は北海道、その前は宮城・青森・秋田・岩手という具合で、来週は岡山と香川へ行きます。ついでにいえば、GW明けにはまた北海道へ渡る予定です。今年に入ってから何だか異例の目まぐるしい動きで、多少疲れはしますが面白い経験をしています。


いずれの出張でもその土地土地の美術館を訪れています(それが仕事なので当然ですが)。今年になってから訪問した地方の美術館を見直してみたらこんなふうになっていました。

・秋田市立千秋美術館
・秋田県立美術館
・岩手県立美術館
・神田日勝記念美術館
・福原記念美術館
・安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄
・木田金次郎美術館
・モエレ沼公園
・北海道立三岸好太郎美術館
・北海道立近代美術館
・札幌芸術の森美術館
・安曇野ちひろ美術館
・北アルプス展望美術館
・松本市美術館
・十和田市現代美術館
・棟方志功記念館
・青森県立美術館
・沖縄県立博物館・美術館
・佐喜眞美術館
・浦添市美術館

こうしてみるとけっこうな数です。みなさんはこれらのうちどれだけご存じでしょうか? あるいは、どれだけ行かれたことがあるでしょうか?  


moere01.JPG
白一色の世界になっていた冬のモエレ沼公園(札幌市)


日本はメディアが東京に集中しているので、どうしても東京中心の情報発信になっています。美術関係も同様で、東京近辺の美術館にばかりスポットが当たっている傾向が否めません。実際、私自身インタビューを受けたりする際、美術館や展覧会の事例を出そうとすると、まずは必ず「東京の美術館を挙げてください」といわれます。メディアは東京の情報を中心にして報じたいという姿勢が顕著なのです。首都圏には3500万人もの人間が居住していますから(かくいう私自身東京住まいなわけですが)致し方がないといえばそうなのかもしれませんが、とにかくそんなふうにして紹介される東京の美術館や展覧会が注目を集め、アートシーンの中心に位置するという構造が生み出されているわけです。


その一方、東京の動向とは別に地方には地方の美術館があり、それぞれの活動を営んでいるのも事実です。全国的なメディアで取り上げられる機会は少ないかもしれませんが、見に行ってみると見応えのあるものが決して少なくありません。それまでは知らなかった地方の作家に大きな感銘を覚えることもしばしばです。私の経験では、知名度と内容のクオリティは必ずしも比例しません。


地方の芸術は、名前を売ってのし上がろうとか一儲けしてやろうといった動機ではなく、ひたすらにそれを表現したいという純粋な気持ちで作品が生み出されていることが多いです。自分の愛する故郷の情景、健気に生きる人々の姿、身の回りの生命の愛おしさ、といったものを素直に、深い想いをもってただただ表現しようとしているのです。それだけに、そうした作品は見る者の心を純粋に揺さぶります。「いまはこういうものが売れ線なのでそのラインに乗っかった作品で受けを狙おう」といった打算とは無縁なのです。そんなピュアな芸術との出会いは地方の美術館においてのほうが多いような気がします。


また、地方の美術館はご当地の特色を反映させたつくりになっていることがよくあります。その空気を味わい楽しめるのも地方美術館ならではの大きな魅力です。


okihakubi01.JPG
沖縄の風土を感じさせる沖縄県立博物館・美術館(那覇市)


地方美術館侮るべからず、と声を大にしていいたいです。ぜひ旅行されたら、その土地土地の美術館へ行ってみてください。たとえ知らなかったところ、小さな美術館であっても、きっと「ここにこんな芸術があったのか!」と感銘を受ける経験ができるでしょう。私自身、最近はどちらかといえば地方美術館を訪ねることのほうが楽しみになっているのです。