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ARTRAY

アート鑑賞ナビゲーター藤田令伊のブログ形式のメディアです。
展覧会レビュー、アート鑑賞のヒント、アートニュースなどアートに関する
effectiveな情報を発信しています。アート以外についてもときどき書きます。
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日本アートマネジメント学会全国大会(2014年)・その1
アートを考える
11月29・30日の2日間にわたって日本アートマネジメント学会の全国大会がありました。年に1回開かれている大会で、今回で16回目になります。私はアートマネジメント学会の正会員ではないのですが、年によってビジター参加しています。今年の大会は(いろいろな意味で)大変内容の濃密な大会になりました。そのご報告です。

アートマネジメントとは、美術や演劇、音楽などの文化活動をどう持続的発展的に展開させていくかをさまざまに探究、実践することです。具体的には展覧会や舞台、コンサート等の企画や運営をどう執り行っていくかということで、内容の煮詰めから広報にいたるまで幅広い活動が求められます。なかでも、アートマネジメントにおいて常に焦点となっているのはファンドレイジングといわれるものです。ファンドレイジングとは、要するに必要なお金の確保のことです。先立つものがなければ何もできないのはアートも例外ではありませんからね。


アートマネジメントはそのようなものなので、私自身の活動とドンピシャというわけではないため正会員になっていないのですが、オーバーラップするところもあってときどき参加させてもらっています。

今年の大会の主なプログラムは次のようなものでした。

・1日目:公開シンポジウム 「文化芸術の振興における大学の役割」
・2日目:分科会
     A 地域・資源・アート
     B エデュケーション
     C アウトリーチ
     D マーケティング
     E 保存・再生・活用

ちょうど大正大学で現代アートの授業を受け持つようになったので、とくにシンポジウムに関心を抱きました。で、あまり細かいレポートをする余裕はありませんので、今大会でとくに印象深かったことに絞ってご報告したいと思います。


◎改めて、アートってなに?

昨今、アートの活動はさまざまなかたちで展開しています。とくに最近大流行りなのが「アートプロジェクト」です。アートプロジェクトとは、美術館で価値が確立した作品を中心に行われる従来型の展覧会に対して、美術館を飛び出して、必ずしも価値が確立していない作品や発表形態をも取り込みつつ、限定された期間に展開されるものです。2000年にスタートした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が一つのきっかけとなって、その後、各地でどっと開かれるようになりました。「〜〜ビエンナーレ」とか「〜〜芸術祭」というのが、みなさんの近くでも開催されるようになったのではないでしょうか。2014年も盛況で、すでに全国で120件以上のアートプロジェクトが開かれているという報告が神戸大学大学院の岩澤豊子さんからありました。さらには「もはや乱立状態」という人もいるほどです。


そうしたなかで、それらアートプロジェクトをどう評価するかが一つのテーマとして浮上してきたわけです。アートプロジェクトでの実際の活動は多岐にわたり、世界的なアーティストの作品発表から、地元の人たちによる手づくり作品の展示、カフェや屋台、子どもたちとのお遊び的ワークショップなどなど、もはや、とりとめもないほど多様になっているため、それらを「アート」のひと言でくくってしまえるのか? 屋台やカフェもアートといえるのか? といった問題意識が生じており、それが今大会さまざまな場面で表面化しました。


分科会発表の質疑応答では「効果の測定はどうしているのか?」とか「プロジェクトの内容を企画する段階で“アート性”の検討や議論はあったのか?」「アート振興というより地域おこしではないのか?」といった質問がいくつもの場で次々と上がりました。それらの質問はつまるところ「それって、アートとして評価できるの?」という疑問に集約的に起因していたといえます。


また、あるアートプロジェクトでは、アーティストの側から「自分の作品と地元の人たちの手づくりの陶芸品が同列に扱われるのは納得がいかない」という声も上がったそうです。これも「どこまでがアートなの?」という問題意識が顕在化したものといえるように思います。


象徴的だったのは、美術教育界の大御所格と目されるW名誉教授がはっきりと「それがアートなのか?」という含みをもって持論をぶたれたことでした。W名誉教授は初日のシンポジウムの質疑応答の時間に発言を求められ、「そういうものより、ほんとうのプロのアーティストに対してこそ、もっと手を差し伸べるべきだ。プロのアーティストこそがアート界を発展させていくのだから」と力強く会場に訴えかけられました。さらにW名誉教授は2日目の分科会においても、いわゆるハイアートこそが美術であるという趣旨の主張を長時間にわたって繰り返されたのでした。


まるでテレビドラマを地で行くかのような展開に驚き、また興味深いものを覚えましたが、W名誉教授の主張はどちらかといえば保守的な立場からの反論と見ることができそうです。そして、この構図はかつてモダンアートの信奉者たちがポップアートをキッチュとして蔑んだ図式と酷似していると感じました。つまり、「アートとは、いったいなんぞや?」という問い直しが21世紀の日本において再び時代のテーマとして頭をもたげているのです。そのことが今大会では明確に浮き彫りになったように思います。


もちろん、2日間の学会で簡単に結論が出るはずもありません。上記のようにアートプロジェクトにおける「アート」に対する戸惑いや疑問が何人もの人から出され、その象徴的なものとしてW名誉教授の見解が提示されましたが、他方、それらとは正反対に「アートは必ずしも洗練させる必要はないと考える」とか「アートとイベントの線引きは重視していない」と考える先生方も多くおられたことをご報告しておきます。


長くなってきたので今日はとりあえずここまでということで。