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ARTRAY

アート鑑賞ナビゲーター藤田令伊のブログ形式のメディアです。
展覧会レビュー、アート鑑賞のヒント、アートニュースなどアートに関する
effectiveな情報を発信しています。アート以外についてもときどき書きます。
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牛島憲之記念館
美術館・ギャラリー
東京近郊には市区町村立レベルの美術館がたくさんある。国立や都道府県立の美術館のようにメジャーではないけれど、それぞれ味わいがあって、小粒ながらも地域の文化を担う存在として頑張っている。メジャーな美術館はどうしても耳目を引く「大きい」企画に向かう傾向があるのに対し、市区町村立の美術館は「小ささ」を生かした個性的な企画をしてくれる。その結果、「大きい」企画では漏れ落ちてしまう美術がフォローされるかたちとなり、目立たないかもしれないけれど重要な存在になっている。私はこのクラスの美術館がけっこう好きである。とくに最近は。


うちの近くには府中市美術館というのがあり、その府中市美術館のなかに牛島憲之記念館というものがある。美術館の中に記念館があるわけだが、別個の建物があるのではなく、館内の一角が牛島憲之の常設コーナーになっていて、その部分を牛島憲之記念館と呼んでいるのだ。


牛島憲之をご存じだろうか? おそらく、かなりの通でなければ知らないのではと思うが、熊本生まれの洋画家で生年は1900年である(1997年没)。作風が独特の特徴をそなえている。風景が非常に単純化され、すべてのものが不思議な丸みを帯びて描かれる。見ようによってはポエジーともメルヘンチックとも見えるが、そういう言葉ではすくい切れないものがあって、どこか哀調を湛えている感じもする。一度見たら忘れられないものがある。

http://image.search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%89%9B%E5%B3%B6%E6%86%B2%E4%B9%8B&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

牛島憲之の絵で私がもっとも惹かれるのは、ガスタンクとか橋とか島とかを描いたものである。おそらく、題材となった風景は実際に見ればどうということのない景色と思われる。ところが、牛島憲之が牛島流に切り取って描いてみせると、じつに奇妙な魅力を放つのである。何でもない場所に何か特別な意味があるように感じられてくる。見るからに見事な景色とかいったのではないところがよい。どこにでもありそうな、さりげなさのなかに牛島憲之は特別なものを見出しているのだ。何らかの心理的なものが込められているようにも、そうとは限らないようにも見え、ついつい絵と向き合う時間が長くなる。


市区町村立の美術館はこういう美術と出会えるのがいい。メジャーな展覧会もいいが、自分のペースでじっくりと等身大のアートを味わうのも美術鑑賞の大きな愉しみである。おすすめしたい場所のひとつ。